まんじゅう大帝国

書きかけて放置していたMUGWUMPSを急いで書き上げて、今書いておきたい事が出来た。


たまたまテレビで見た漫才、まんじゅう大帝国だ。


脱力系
みたいなものが流行りつつあるのだろうか。


特徴あるツッコミが注目されるようになってどれくらい経つのだろう。
くりぃむしちゅーからなのか。
さまぁ~ずからなのか。

勝手な予測だが、ドリフや欽ちゃんや、日本のお笑い創成期はボケの時代だったのだろう。言葉や擬音と、身振り手振りや表情の組み合わせでバシバシ笑いが取れた。
漫才ブームへと時代が進むにつれてボケは細分化され、複雑になるに連れてツッコミを必要とするボケが普及してきた。更に細分化されたボケは、それだけで個性を出すのが困難になり、ツッコミによって差別化を計る時代が来たという流れだと思う。

そのお笑いの変化は社会にも影響しているかもしれない。
今や街はツッコミに溢れて、他人の隙を探してはなんとかツッコミ側に回ろうとする。ちょっとした失言や失態を探し出して、吊し上げて総出でツッコむ。吊し上げられた人はほとんど再起不能。「大人」として適切に対処するか、「ボケ」として受けきった一部の人だけが復帰できる。

飽き飽きしているし、疲れている。
ミスに怯えながら、人のミスを待っている毎日に。


そこでふと湧いた脱力系のお笑い。

過去にもよゐこアンガールズなど、脱力系は一定数存在はしていたが、次の担い手がいなかったように思う。

そこへ出てきた四千頭身

新たに脚光を浴びそうな脱力系が出てきたと思った。
最近は若くてもスキルやロジックをしっかり持っている芸人が多いなか、他とはやはり歴然の差。オリジナリティを感じる。「華」ってやつを持っている。

新しい時代の幕開けを目の当たりにしているのかも知れないと、久しぶりに刺激を受けた。


そんななか、特番に大抜擢されたまんじゅう大帝国。


四千頭身と違って、まだ華がない。
売れなさそうだが、まぁすごい。


出てきた姿から滲む脱力感。緊張を見せない。
「何かあります?」と相方に問いかける一言目で、脱力系は決定的に。見る側に、何が始まるか、空気が伝わる。

1つ目のボケ。
ツッコまずに流す。

続けてボケると
「ってことはさぁ」
と溜める。
来るぞ来るぞと、どんなツッコミを見せるのか期待させる。

期待を裏切り、すかす。
ツッコまずに、先の展開を促す。

その後もツッコむフェイントをすかし続けるうち、すかしているのではなく、こーゆースタイルなんだと飲み込めてくる。

最後、突然にショートコントが始まり、謎の綺麗なボケ。
うまいこと言いましたよ!と表情で語り、
「やるねぇ」

で締める。


スキル、ロジックをしっかり持っている。

欲を言うと、ツッコミフェイントの演技力がもう少し有れば完璧。


彼らの漫才は、身の回りでも聞き覚えのある、ただのバカ同士の的を射ていないのに噛み合っている会話の形を
とっていて、共感の幅は広いと思う。

この漫才にあるのは、無関心というか、不干渉。
変だとは思っていても否定することなく、ただ話を合わせる会話、あまり距離が近くない先輩や上司と話す時の感覚に似ている。

現在のツッコミ社会の先にこの脱力時代は来るだろうか。きっと四千頭身とまんじゅう大帝国が占ってくれる。